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きくちゆみこ『こんにちは. あなた わたしはきくちゆみこです❶❷』

三崎育ちのきくちゆみこさんによるzine(ジン)

自分を思い返すzine(ジン)

東京生まれ、神奈川県三浦市三崎育ち、文章と翻訳を生業とするきくちゆみこさん。2010年よりパーソナルな語りとフィクションによる救いをテーマにしたzineを定期的に発行。言葉の可能性をひらく作品制作や展示、TOKYO ART BOOK FAIRにも出品。そんなきくちゆみこさんが、自分自身を一人称とし、子育てを通して自分を思い返すことについて綴ったzineが『こんにちは. あなた わたしはきくちゆみこです』の1と2です。

きくちさんのzineは全て手製本。この2冊は、タイトルのように著者の自己紹介のような内容

きくちゆみこさんとの出会い

きくちゆみこさんのzineに出会ったのは、社会人1年目の頃。吉祥寺の本屋さんで、何気なく手に取ったのが彼女がかつて発刊していたzine『(UNINTENDED.) LIARS』でした。「だめをだいじょぶにしていく日々だよ」その言葉が、だめな毎日をただ送り続ける私にまっすぐと話しかけてきた気がしました。それから、定期的に発表される作品を少しずつ集めるように。

5年以上の月日が経ち、三崎の雑貨屋で働くことになったのを友人に伝えると「三崎って、きくちゆみこさんが育った町だよね」と教えてくれたのです。それからほどなくして、ゆみこさんに連絡を取り、一緒にお酒を飲み、zineを仕入れさせてもらえることになりました。嘘みたい、現実で起きた夢のような出来事でした。

三崎で育った幼少期

ゆみこさんは東京で生まれ、幼稚園の年中の頃、家族で三崎に引っ越しました。そこでの体験は、『こんにちは. あなたわたしはきくちゆみこです❷』の方で綴られています。このzineのテーマは、 “stories of pain, if not sickness”、「名前をつけることはできなくても、わたし(たち)が確かに感じ、抱えている小さな痛み」。三崎での小さな痛みは、ゆみこさんにとってなかなか消えない深い傷になっていたのだと、私は彼女とお酒を飲みながら聞きました。慣れない土地に引っ越してきたことも含め、その居酒屋の向かいにある小学校に通うことがつらくて仕方がなかった日々があったのだと聞いて、なんだか悲しく悔しいような、複雑な気持ちになりました。

“stories of pain, if not sickness”

シュタイナー教育を学んでいるゆみこさん。ものすごい密度の知識を覗き見るような

 

今の彼女が、その小さな痛みたちとどうやって向き合っているのか、zineの中で綴られています。三崎に暮らす人も、たまに遊びに来る人も、そうでない人も、読んでほしい作品です。ぜひ❶から、❷からでも問題なく読み進められます。いろんな人に届くといいなと、小さく願って。

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¥605¥770 (税込)
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